2021/08/07 18:48

シフォンケーキについて

シフォンケーキは、日本でとても愛されているケーキのひとつです。ケーキというと、身 の引き締まったスポンジケーキを思い浮かべる人もいらっしゃるかと思いますが、ふわふ わしてあっさりとしたシフォンケーキはやはり絶品です。この生地では、シフォンケーキ について、作り方なども交えながらご説明していきますが、「やっぱり自分で作るのは無 理!」という方のために、café-trill自慢のシフォンケーキについてもご紹介しています。ぜ ひ当店自慢のシフォンケーキも味わってみてくださいね。

シフォンケーキの由来

シフォンケーキは、アメリカ生まれのケーキです。20世紀の前半には、すでにその存在は よく知られていました。このケーキを最初に世に出したのはハリー・ベーカーという人 で、ベーカーさんは、卵白だけで作るケーキを参考に作り出したそうです。シフォンケー キという呼び名は、シフォンという絹生地のようになめらかなことから付けられたといわ れています。当時はとても話題になり、ハリウッドスターのパーティなどで引っ張りだこ になったそうです。しかし、このシフォンケーキがどうやって作られているのか、そのレ シピについてはベーカーさんのみの知るところであり、長きにわたり秘密とされていまし た。ベーカーさんの引退後、事業を引き継いだ企業がサラダ油やベーキングパウダーが使 われていたことを公表して以降、とても人気になり、さまざまなレシピが考案されること になります。

ちなみに、日本でシフォンケーキが広まったのは1980年代以降のことです。

シフォンケーキは、日本ではあまりデコレーションケーキのベースとしては使われませ ん。おそらく、ふわふわ、しっとりが魅力なので、デコレーションするよりも、そのもの を味わったほうがよいという考え方からなのかもしれません。しかし、もちろんシフォン ケーキはデコレーションしてもとてもおいしいケーキです。

スポンジケーキがデコレーションケーキのベースとしてよく使われるのは、中身がつまっ ているため安定するからだと考えます。シフォンケーキをデコレーションする際は、 ちょっとコツがいることも、ベースとしてはあまり利用されない理由なのでしょう。しか し、もちろん、ポイントを押さえれば、シフォンケーキはデコレーションケーキのベース としてもとてもおすすめです。

シフォンケーキとスポンジケーキの決定的な違い

シフォンケーキはふわふわ、しっとり、スポンジケーキは中身が詰まって濃厚な味わい。 かんたんに2種類のケーキの特徴を説明するならこうなります。このような特徴の違い は、主に材料が異なることにより生まれます。シフォンケーキには植物油やサラダ油が使 われますが、スポンジケーキに使われるのはバターです。シフォンケーキに使われる植物 油やサラダ油は、ご存じのように常温では液体です。そのため、焼き上げるとふんわりし ますが、その状態を保つことがなかなか難しいという性質があります。

一方、スポンジケーキ作りに使われるバターは、常温では固体です。すなわち、調理中は 溶けてしまうのですが、常温に戻るとしっかりします。スポンジケーキの安定感は、この バターのおかげなのです。

シフォンケーキは調理後、そのままおいておくと、どんどんしぼんでしまいます。これを 防ぐために、シフォンケーキは焼き上がったら「ふわふわ感」を保つために逆さにすると いう作業が必要になるのです。

スポンジケーキは安定感があるので、2段でも3段でも積み重ねやすいのですが、そもそも ふわふわ感が魅力であるシフォンケーキの場合は、デコレーションには向かないという面 があるんですね。しかし、シフォンケーキをうまくデコレーションする方法はもちろん存 在します。

ちなみにパウンドケーキは、スポンジケーキよりもバターをたくさん使用する、とても しっかりした味わいが特徴のケーキのことです。

シフォンケーキをデコレーションするコツ
シフォンケーキをデコレーションする際は、以下のような点に注意するとうまくいきま
す。

・押さえつけない

シフォンケーキは、デコレーションの際に、クリームを押さえつけるように塗ってしまう とつぶれてしまいます。

・軽い生クリームを使う

濃厚な生クリームを使ってデコレーションしようとすると、結局は押さえつけることに なってしまい、魅力であるふわふわ感が失われてしまいます。そのため、軽めの生クリー

ムをさっと塗る程度にするとうまく仕上がります。塗ることを考えずに、生クリームを 「かける」ようにして使ってもよいでしょう。

シフォンケーキの材料

ふわふわの絶妙な食感で多くの人々を魅了したシフォンケーキのレシピは、長い間、その 考案者・ベーカーさんが秘密にしていました。しかし、現在は主に「玉子」「小麦粉」「砂 糖」「サラダ油」「食塩」「水」をベースに作られています。オリジナルのレシピでは、 このほかにも安定剤が使われていたのですが、基礎となるのはこれらの材料です。チョコ レートシフォンケーキの場合は、これらにココアパウダーなどが加わります。


シフォンケーキのレシピ

ここからは、シフォンケーキのレシピをご紹介していきます。ふわふわ感が魅力のシフォ ンケーキは、自宅で作るとなるとたいへんで、なかなかうまく作れないという人も多いの ではないでしょうか?まずはベーシックなシフォンケーキ作りに挑戦してみましょう。

その1・基本のシフォンケーキ

何かと失敗の多い自宅でのシフォンケーキ作り。シフォンケーキは作り方にももちろんコ ツがありますが、材料や道具にも注意することで、よりおいしく仕上げることも可能で す。まずは材料をご紹介します。なお、参考にしているのはこちらのレシピです。

参照サイト:h2ps://oceans-nadia.com/user/29/ar>cle/1390 材料
卵黄:
3個分
卵白:
4個分

グラニュー糖:25g+45g サラダオイル:30g 水:45ml
薄力粉:70g バニラオイル:適量

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このシフォンケーキは、市販されている17cmの型にぴったりのものです。できればアルミ の型が使いやすいのでおすすめです。

卵白と卵黄に使用する玉子は、大きめのものを選んでください。水は冷えたものではな く、常温のものを用意します。サラダオイルは、ほかのオイルに置き換えてもよいのです が、味がついてしまうオイルもあるためクセの強いオイルは使わないほうがよいでしょ う。水の代わりに牛乳を使う方法もあります。

では、さっそく下準備からご紹介していきましょう。オーブンは180°Cに予熱しておきま す。

用意した卵白は、ボウルに入れた状態で冷蔵庫で冷やしておきます。卵黄は、やはりボウ ルに入れてほぐしておきましょう。続いてここに25gのグラニュー糖を投入し、ホイッパー で、少々色が白色になるまでホイップしていきます。その後、サラダ油を入れ、さらによ く混ぜます。サラダ油は一気に注入するのではなく、少しずつ、ほかの材料となじませな がら入れるのがポイントです。

つづいて、ここにバニラオイルを数滴垂らし、さらに薄力粉を投入します。ここでは、あ まり一生懸命混ぜてしまうとあとでふわふわ感が出にくくなるので、ゆっくり混ぜるのが コツです。

冷蔵庫に入れておいた卵白を取り出したらメレンゲ作りです。ハンドミキサーを低速に セットして、ゆっくりとほぐしていきましょう。その後、45gのグラニュー糖を分けて入 れながら、高速で混ぜ合わせていきます。メレンゲ状になったら、また低速にして細かい 泡状にまとめます。このグラニュー糖を分け入れることが、ここでのポイントです。3回 程度に分けるとちょうどいいでしょう。メレンゲの硬さは、ボウルを裏返しにしても落ち ない程度が目安です。

続いて、このメレンゲを先ほどの卵黄の中に分け入れます。ここでも3回程度に分けて入 れましょう。メレンゲを入れる、ホイッパーで混ぜる、メレンゲがなじんだらまたメレン ゲを入れる、といった具合です。すべてのメレンゲを投入したら、今度はゴムベラを使っ て混ぜます。メレンゲは、シフォンケーキのふわふわ感を出すという大きな役割を担って いるため、この作業はとても重要です。混ぜつつも、メレンゲの泡をつぶしてしまわない 繊細な作業が求められます。メレンゲの泡が大きくなりすぎても失敗の原因になるので、 注意しましょう。続いて、型を用意したら、その中に流し込みましょう。流し込んだら軽 く生地をなじませます。

これを予熱しておいたオーブンに入れて25~30分焼きます。その後、取り出したらすぐに 型をひっくり返します。熱が取れたら型から外しますが、ここにもコツがあります。型の

内側と外側の両方を、手指を使って下まで押すことで、生地は型からはがれてくれます。 この時点で生地は弾力を持っているので、少しばかり力を入れても戻ってきてくれます。 この作業が済んだら、型を外側から外して、続いて底の部分をはがしてあげると、スムー ズにはがれてくれるはずです。

その2・濃厚チョコシフォンケーキ

チョコレートが口の中でとろけるように濃厚なチョコシフォンケーキのレシピをご紹介し ます。チョコが加わるとはいえ、シフォンケーキ作りの基本は変わりません。こちらのレ シピを参考にしています。

参照サイト:h2ps://macaro-ni.jp/50794 材料
卵黄:
4個分
卵白:
5個分

サラダ油:大さじぬるま湯:60cc チョコレート:100g 薄力粉:50g ココアパウダー:10g 砂糖:10g+30g 塩:少々

こちらのチョコシフォンケーキでも17cmの型を使用します。オーブンは170°Cで予熱して おいてください。

まずは下準備から。薄力粉とココアパウダーを混ぜ合わせ、ふるいにかけておきます。 チョコレートは、ボウルに入れて湯せん、さらにサラダ油をここに混ぜておきます。

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ここからは生地作りです。ボウルに入れ、しっかり溶いた卵黄に、砂糖を10g投入しま す。50°C(チョコレートを湯せんしたお湯でOK)で湯せんしながら、ハンドミキサーで 白みがかってくるまでかき混ぜましょう。

続いて、先ほどのチョコレートとサラダ油を混ぜたものを、白みがかってきた卵黄と混ぜ ます。塩少々とぬるま湯を加えてしっかり混ぜ合わせましょう。

最初に準備した薄力粉とココアパウダーを、ここにふるいにかけながら投入します。さら にハンドミキサーか泡立て器でよくかき混ぜます。ダマが残らないようにしっかりかき混 ぜましょう。ここまで終わったら、ラップをして少しの間、生地をなじませましょう。続 いてはメレンゲ作りです。

卵白をボウルに入れて軽く溶き、砂糖(30g)と塩少々を入れてハンドミキサーでかき混 ぜます。高速でかき混ぜるのがポイントです。

メレンゲの固さは、ボウルを逆さにしてもしたたり落ちない程度が目安です。このぐらい の固さになったら、ハンドミキサーのスピードをゆっくりにして30秒程度混ぜましょう。 続いては、いよいよ先ほどの生地と合わせていきます。

ラップをかけてなじませていた卵黄生地を、再びハンドミキサーでかき混ぜつつ、メレン ゲをひとすくい投入して混ぜ合わせます。生地とメレンゲがしっかりなじんだら、この作 業を繰り返します。すべてのメレンゲを混ぜ合わせたら、今度はヘラを使って混ぜ合わせ ましょう。型を用意して、生地を流し込みます。このとき、少し高い位置から生地を流し 込むのがポイントです。

型に生地を流し込んだら、竹串を使って5回程度ぐるぐるとまわして、表面にできた大き めの気泡をつぶしておきます。

予熱しておいたオーブンの中に型を入れ、約35分焼きます。紙の型を使う場合は、少し焼 き時間を長めにとってください。

焼き上がったら、型をそのまま逆さにして粗熱をとりましょう。生地が大きく膨らんでい る場合もあるので、そんなときは型の筒部分にビンなどを入れて、高さを調整してくださ い。熱がとれたら冷蔵庫で一晩冷やします。

焼き上がったケーキを一晩おいたら、いよいよ型から外します。型から外す際は、内周側 を竹串で、外周側はパレットナイフを使ってゆっくりとはがしていきます。きれいにはが れたら、最後に底部分にパレットナイフを入れましょう。きれいに外せましたか?

その3・ストロベリーパウダーで作るシフォンケーキ

次にご紹介するのは、ストロベリーパウダーを使って作るシフォンケーキです。スイーツ に使われるフルーツの定番ともいえるいちごは、春だけではなく、年間をとおしていただ きたいですね。こちらは以下のレシピを参考にしています。

参照サイト:h2ps://www.co2a.jp/special/ar>cle/?p=27980

スイーツにそのままデコレーションされているいちごは、おいしさも表現してくれます。 しかし、生地にしてスイーツを作るとなると難易度が急上昇してしまいそうですね。そこ でこのレシピではストロベリーパウダーを使ってシフォンケーキを作っています。パウ ダーなら、面倒な作業の必要はありません。フリーズドライのストロベリーパウダーは、 通販や100円ショップでかんたんに手に入れられます。

材料
卵黄:
40g(玉子1~2個程度) 卵白:150g(玉子2~3個程度) 砂糖:50g+20g
ごま油:大さじ3杯ぐらい 牛乳:大さじ2杯強
薄力粉:
60g フリーズドライストロベリーパウダー:10g ベーキングパウダー:2g

こちらのシフォンケーキも17cmのシフォンケーキ型を使用します。オーブンは、ガスなら 180~190°C、電気なら190~200°Cで予熱しておきます。薄力粉とベーキングパウダー、ス トロベリーパウダーは、ふるいにかけておきます。

まずは生地作りです。ボウルに卵黄とグラニュー糖50gを投入し、ハンドミキサーを使っ て白みがかってくるまで混ぜ合わせます。さらにごま油を入れてよくかき混ぜてくださ い。しっかり混ぜ合わさないとごま油が分離してしまうので注意が必要です。しっかり混

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ざったら牛乳を追加します。飛び散りやすいので、ハンドミキサーは低速にセットすると よいでしょう。

続いてはメレンゲ作りです。ボウルに用意した卵白と、まずは10gのグラニュー糖を入 れ、ハンドミキサーで混ぜ合わせます。少し細かい気泡が発生してきたら、残りの10gの グラニュー糖を投入してさらにかき混ぜます。メレンゲの固さはツノがやわらかく立つ程 度がおすすめです。あまり硬く仕上げすぎないように注意してください。この状態でメレ ンゲは完成です。

完成したメレンゲを、先ほどの生地のボウルに投入します。ヘラ1回分を投入したら混ぜ、 よく混ざり合ったらこの動作を繰り返します。すべてのメレンゲを混ぜ合わせたら完了で す。途中までは、完全に混ざり合った状態ではなくても問題ありません。しかし、仕上げ の段階では、生地とメレンゲが完全に混ざるようにしっかりかき混ぜましょう。

型を用意して、生地を少し高い位置から注ぎ込みます。予熱しておいたオーブンは、温度 を10~20°C下げてから焼いてください。焼き時間はガスの場合で25分、電気の場合で30分 程度です。焼き終えたら、型を逆さにして一晩おいておきます。

パレットナイフなどで型から外したら、お好みでデコレーションをして完成です。

シフォンケーキ作りのポイント

ここで、シフォンケーキ作りにおいてポイントとなることをまとめておきましょう。

メレンゲのできがシフォンケーキのできを決める

メレンゲのでき具合が、シフォンケーキの仕上がりを決めるといっても過言ではありませ ん。そのため、メレンゲ作りの際は、細かいところまで気を配る必要があります。

それぞれのレシピでやり方は少しずつ異なります。しかし、ちょっとした心配りがメレン ゲのできを左右します。たとえば、メレンゲを作る際に入れておくボウルやかき混ぜるハ ンドミキサーに水滴がついていませんか?このような余分な水分が、メレンゲを台無しに してしまうことがあります。

ハンドミキサーは、生地作りでもメレンゲ作りでも使用しますが、この際、余計な材料が ミキサー部分に付着していないかどうかも、しっかりチェックしてください。水分同様、 このような細かいところがメレンゲのできを左右します。

メレンゲの固さは、ツノがもたれずにやわらかく立つぐらいがちょうどよい状態です。あ まりやわらかすぎても、また固すぎてもよくありません。塩を少し投入するとメレンゲを 早く仕上げられるのですが、泡立ちやすいので注意が必要です。

シフォンケーキ作りでは、多くの人が「ふくらまない」という失敗を経験します。これ も、結局はメレンゲがしっかり作られていないことが原因です。泡立てすぎはよくありま せんが、ふくらまない場合は泡立てが不足している場合が多いと考えられます。

また、生地とメレンゲを合わせる際に、いじりすぎてしまったり、合わせてから役までの 間に時間をとりすぎてしまったりすると、うまくふくらんでくれないことがあります。

シフォンケーキのふくらみをサポートしてくれるアイテム

型はアルミ製がおすすめですが、紙のものでもOKです。生地は、ある程度、型に密着する ことでふくらみやすくなります。フッ素樹脂加工されている製品の場合は、くっつかない のでふくらみにくいのです。

生地とメレンゲを合わせる際はメレンゲを分けて

卵黄生地とメレンゲを合わせる際は、ヘラでメレンゲをとり、数回に分けてしっかり合わ せましょう。この際、メレンゲはつぶしすぎず、しかし固形物を残さないように、ていね いに混ぜ合わせることがポイントです。

忘れがちなのはボウルの底に沈んでいる生地やメレンゲです。これらもチェックして、 しっかり混ぜ合わせましょう。

生地を入れるのは型の8分目まで

できあがったシフォンケーキの生地は、型に流し込む際、フルに入れるのではなく、8分 目までにしておきます。シフォンケーキの生地はふくらむので、こうしてしまうとオーブ ンの中で膨張しすぎてしまうことがあります。生地が少しあまってしまったら、紙コップ などに入れて焼くのがおすすめです。

オーブンのクセを知る

これについては「慣れ」としかいえませんが、ご家庭のオーブンにはクセがあります。目 安となる焼き上げ時間はありますが、どのオーブンを同じ温度に設定しても焼き上がりは 異なるので、お手持ちのオーブンのクセを使いながら覚えておくことは、シフォンケーキ 作りだけではなく、お菓子作りではとても重要です